眼球運動障害の等級

等級 傷害の程度
運動障害 第10級の1の2 正面視で複視を残すもの
第11級の2 両目の眼球に著しい運動障害を残すもの
第12級の1 1眼の眼球に著しい運動障害を残すもの
第13級の2の2 正面視以外で複視を残すもの

(イ) 「眼球に著しい運動障害を残すもの」とは,眼球の注視野の広さが1/2以下に減じたものをいいます。
注1 眼球の運動は,各眼3対,すなわち6つの外眼筋の作用によって行われます。この6つの筋は,一定の緊張を保っていて,眼球を正常の位置に保たせるものですから,もし,眼筋の1個あるいは数個が麻痺した場合は,眼球はその筋の働く反対の方向に偏位し(麻痺性斜視)麻痺した筋の働くべき方向において,眼球の運動が制限されることとなります。
 2 注視野とは,頭部を固定し,眼球を運動させて直視することのできる範囲をいいます。
 注視野の広さは,相当の個人差がありますが,多数人の平均では単眼視では各方面約50度,両眼視では各方面約45度です。

(ロ) 複視
a 「複視を残すもの」とは,次のいずれにも該当するものをいいます。
(a) 本人が複視であることを自覚していること
(b) 眼筋の麻痺等複視を残す明らかな原因が認められること
(c) ヘススクリーンテストにより患側の像が水平方向又は垂直方向の目盛りで5度以上離れた位置にあることが確認されること
b 上記aに該当するもののうち,
(a) 「正面視で複視を残すもの」とは,ヘススクリーンテストにより正面視で複視が中心の位置にあることが確認されたものをいい,
(b) 「正面視以外で複視を残すもの」とは,上記(a)以外のものをいいます。
注1 複視とは,右眼と左眼の網膜の対応点に外界の像が結像せずにずれているために,ものが二重にみえる状態です。麻痺した眼筋によって複視が生ずる方向が異なります。
 2 複視を残す場合,併せて頭痛等の神経症状を残すことが多いですが,これらは複視によって派生的に生じているものであり,症状としても複視とは別途に独立して評価する必要はない程度のものです。
 また,複視の原因である注視野の減少の原因でもあり,「眼球の著しい運動障害」に該当する眼筋の麻痺等がある場合には,通常複視をも残すこととなります。
 3 ヘススクリーンテストとは,指標を赤緑ガラスで見たときの片眼の赤像,他眼の緑像から両眼の位置ずれを評価する検査方法です。
 例えば,右外転神経麻痺の場合,右眼に赤ガラスを通して固視させると,左眼に緑ガラスを通して見た固視点は右方へ大きくずれるが,左眼に赤ガラスを通じて固視させると右眼に緑ガラスを通して見た固視点は交叉性に小さくずれる。
 4 複視には,上記の両眼性のもののほか,単眼性複視があります。単眼性複視とは,水晶体亜脱臼,眼内レンズ偏位等によって生じるもので,眼球の運動障害により生じるものではないので,視力障害として評価すべきです。

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